井戸のお祓いとは?井戸祓いの料金・準備・供物・必要性を解説

井戸お祓い

井戸のお祓いって何をやるの?

そもそも井戸のお祓いって必要なの?

一般的に、自宅の敷地などにある古い井戸を埋める際には「井戸のお祓い」が必要とされています。

実際に井戸を埋めることを検討した時、多くの人が知りたいのは上のような点でしょう。

この記事では、これらの疑問にお答えするため、井戸祓いの料金や準備する内容、必要性や自分でやる方法などをまとめていきます。

井戸祓いをやる予定の方も「やるかやらないか迷っている」という方も、ぜひ参考になさってください!

この記事をまとめると…
  • 井戸祓いは井戸を埋める時・掘る時に行う
  • まず「息抜き」をし、その後に「魂抜き」を行う
  • 料金(初穂料)は3万円程度
  • 必要な理由は職人さんやご近所への配慮
  • お供物は「お米・お酒・塩・水」など
  • お祓いができる神社なら、井戸祓いは大抵対応している
  • 井戸の工事予定がある方は、お近くの神社のHPを一度チェックしてみてください
目次

井戸のお祓い(井戸祓い)とは?

井戸のお祓い(井戸祓い)とは?

井戸のお祓い(井戸祓い)とはどのようなものか、概要をまとめると以下の通りです。

  • 井戸を埋める時・掘る時に行う
  • 埋める場合は神様への感謝・掘る時は挨拶を伝える
  • まず「息抜き」の作業を行う
  • 次に魂抜き(お祓い)を行う

それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。

井戸を埋める時・掘る時に行う

井戸祓いは、井戸を埋める時と掘る時、それぞれで行われるお祓いです。

現代では井戸を掘ることは珍しいため、もっぱら埋める場面で行われます。

特に埋めるケースでは、建物の解体時に偶然古井戸が見つかることもあります。

いずれの工事でも、特に現場の職人さんへの配慮として、井戸祓いを行うのが一般的です。

埋める場合は神様への感謝・掘る時は挨拶を伝える

埋め立てる際の井戸祓いでは、井戸の神様への感謝の気持ちと「なぜ埋めるのか」という理由をお伝えします。

逆に新たに掘る時は「掘らせていただきます」というご挨拶と「なぜ掘るのか」という理由をお伝えします。

具体的にどのような神様にお伝えするのかは、後ほど解説します。

なお、埋め立ての際の祓いは井戸埋立清祓(いどうめたてきよはらい)などの名前で呼ばれることもあります。

まず「息抜き」の作業を行う

井戸を解体する時は、最初に「息抜き」の作業を行います。

息抜きとは「井戸の底から外にパイプを通す作業」です。

これにより、井戸の中の空気が外に出ていきます。

この息抜きの目的は「内部で発生するガスを外に逃がす」ことと「神様が息をできるようにする」というものです。

また、もう一つの理由として「そこに井戸があったことがわかるようにする」ことも挙げられます。

井戸があった場所は当然地盤がゆるいため、その上に建物を建てたら沈下するリスクが非常に高くなります。

これら3つの理由から、井戸の解体工事では必ず最初に息抜きを行います。

物理的な理由が特に大きいものですが「神様が息をできるようにする」という目的は「お祓い」に近いものです。

次に魂抜き(お祓い)を行う

息抜きが完了したら、次は「魂抜き」を行います。

これがお祓いの本番で、魂抜きとは「井戸の中にいる神様の魂を外に導く」というものです。

魂抜きの内容はマイホームの地鎮式などに近いもので、わかりやすくいえば「一般的なお祓い」です。

息抜きのように「パイプのような道具で魂を抜く」などの作業はありません。

お祓いはRPGの白魔法や魔法陣のようなものではないので、内容自体はどのお祓いでも見た目がほぼ同じになります。

井戸のお祓い(井戸祓い)の詳細

井戸のお祓い(井戸祓い)の詳細

井戸祓いの料金などの詳細をまとめると、以下のようになります。

  • 料金(初穂料):約3万円
  • 服装:普段着でOK
  • 所要時間:約20分

それぞれの詳細について詳しく解説していきます。

料金(初穂料):約3万円

井戸のお祓いにかかる料金(初穂料)は、約3万円が一つの相場です。

この金額はあくまで目安であり、実際の金額や神社や井戸の場所などの諸条件によって異なります。

極端な話、過去にその井戸で事故や事件があったことがわかっている場合、お祓いの料金は高めになるでしょう。

また、神社から遠ければ料金が高くなり、逆にすぐ近くであれば安くなる可能性もあります。

服装:普段着でOK

井戸祓いでの服装は普段着でかまいません。

お祓いの服装は基本的に自由ですが、通常のお祓いはスーツやワンピースなどの落ち着いた服装がベターとされています。

しかし、井戸祓いは「これから工事する現場」で行うため、普段着で全く問題ないのです。

また、神社は一般的に「神聖な場所」とされますが、井戸は「身近な場所」です。

身近な場所で行うお祓いという点でも、普段着で良いわけです。

所要時間:約20分

井戸のお祓いにかかる時間は、おおよそ20分程度とされています。

この所要時間については、神社や出向く神官によって違いがあるため、あくまで目安と考えてください。

お祓いは神様との対話でもあるため、必ずしも長ければ良いわけではなく「適度な長さ」がベストといえます。

(人間の会話やスピーチにも適度な長さがあるのと同じです)

そのような理由で「おおよそ20分程度になる」と考えてください。

井戸のお祓い(井戸祓い)の準備は?

井戸のお祓い(井戸祓い)の準備は?

井戸のお祓い(井戸祓い)で必要な準備をまとめると、以下の通りです。

  • お供物:米・酒・塩・水など
  • 必要な情報:戸主の氏名
  • 場所:祭壇のスペースを確保

それぞれの準備の内容について詳しく説明していきます。

お供物:お米・お酒・塩・水など

まず、お供物(神饌)として、お米・お酒・塩・水などが必要になります。

詳細は神社や神職によって異なりますが、一例を挙げると以下のような内容です。

神饌詳細(一例)
お米 白米5号ほど。無洗米でOK。必ず新米を備える。
お酒日本酒で4号〜1升程度。
お塩粗塩20〜50g程度。通常の食塩は基本的に避ける。
お水水道水・ミネラルウォーター・天然水のいずれも可。
その他自家栽培の野菜などがあれば、合わせて供えるとベター。

これらはあくまで一例なので、詳細は必ずご依頼する神社にお問い合わせください。

また、上記以外で何かお供えしたいものがあれば、それも一緒に問い合わせていただくのが良いでしょう。

必要な情報:戸主の氏名

井戸祓いで必要な情報はほとんどなく、戸主(建物の所有者)のお名前があればOKです。

立ち会うのはご本人でなく、ご家族の方などでかまいません。

通常のお祓いは「その人個人」に対して行いますが、井戸祓いは井戸や井戸の神様に対して行います。

そのため、お祓いの依頼主様の情報はほとんど必要ないのです。

場所:祭壇のスペースを確保

井戸のお祓いでは建築現場の地鎮式のように、祭壇を設けることがほとんどです。

このため、祭壇を設けるスペースとして「約2m四方」程度の空間が必要になります。

(面積でいうと4平方メートル、畳でいうと2畳より少し広い程度です)

この面積も神社によって異なりますが、お申し込みの段階で神社側から言われるため、その数字で合わせるようにしてください。

井戸のお祓い(井戸祓い)に関わる神様は?

井戸のお祓い(井戸祓い)に関わる神様は?

井戸のお祓い(井戸祓い)に関わる神様としては、以下の神々のお名前が挙げられます。

  • 井戸の神(彌都波売神)
  • 生井神・福井神・綱長井神
  • 御井神(木俣神)

それぞれの神様について詳しくご紹介していきます。

井戸の神(彌都波売神)

井戸の神は井戸神(いどがみ)・井の神(いのかみ)とも呼ばれ、名前どおり井戸を守る神様です。

神道では彌都波売神(みずはのめのかみ)が当てられています。

彌都波売神は、伊邪那岐神(イザナギ)の第二四子(24番目の子)であらせられます。

【参考】井戸神| コトバンク

彌都波売神は「水波能売神」とも表記されますが、こちらの方が「みず」の部分が読みやすく、わかりやすいでしょう。

日本書紀では「罔象女神」と表記され、こちらも読みは同じです。

生井神・福井神・綱長井神

井戸の神様として広く知られているのは「彌都波売神」ですが、生井神・福井神・綱長井神も欠かすことのできない井戸の神々であらせられます。

生井神(いくいのかみ)の生井とは「生々活溌の井水」のことです。

福井神(ふくいのかみ)の福井とは「繁栄の井水」のことです。

綱長井神(つながいのかみ)の綱長井とは「深く清い井」のことです。

綱長井の「綱」とは井戸の釣瓶(つるべ)を吊るす綱のことで「つな+ながい」が合体し「つながい」となっています。

これらの神々は、座摩神(いかすりのかみ/ざまのかみ)と呼ばれる、5柱の神様のうちの3柱の神様です。

他の2柱には波比祇神(はひきのかみ)と阿須波神(あすはのかみ)があらせられます。

【参考】座摩神| Wikipedia

御井神(木俣神)

井戸の神様に近い「井泉の神」として、御井神(みいのかみ)もあらせられます。

御井神は木俣神(きまたのかみ)の別名であり、日本神話を代表する神様であられる、大国主神(おおくにぬしのかみ)の子です。

木俣神は名前どおり「樹木の神」ですが、この神様が井泉の神でもある理由は「樹木が地下水を吸い上げて成長するため」とする見方があります。

また、井泉の側にはもともと樹木が生えていることが多く、逆に果物の木などを育てやすいよう、人々が井泉の近くに木を植えることも多くありました。

このように樹木と井泉は結びつきが強かったため、自然に木俣神が「井泉の神=御井神」としての顔も持つようになった、という説もあります。

【参考】神名データベース「御井神」| 國學院大學

また、木俣神が生まれる際に母親の八上比売(ヤガミヒメ)が産湯を取った井戸が「生井・福井・綱長井」の3つです。

(先ほど紹介した3柱の井戸の神様の名前の元です)

この3つの井戸は「日本最古の井戸」とされていますが、その最古の井戸で産湯を使ったのが、木俣神であられるわけです。

この点も、木俣神が井泉の神とされる理由になるかもしれません。

【参考】3つの井戸のご案内| 御井神社

このように「井戸の神様」は多くあらせられますが、これらの神々に感謝やご挨拶を申し上げるのが、井戸祓いの目的です。

「井戸を埋めると良くない」と言われる2つの理由

「井戸を埋めると良くない」と言われる2つの理由

「井戸を埋めると良くない」と昔から言われ続けている理由は、以下の2点です。

  • 「メタンガスが溜まり爆発する」などのリスクがある
  • 神様が呼吸をできなくなる・外に出られなくなる

それぞれの理由について詳しく解説していきます。

「メタンガスが溜まり爆発する」などのリスクがある

まず物理的な理由として「メタンガスが溜まって爆発する」「他の地下水脈に悪影響が出る」などの物理的なリスクが挙げられます。

これらのリスクは必ず起こるものではなく、あくまで「可能性がある」というものです。

しかし、万が一起きてしまった場合に周囲に与える影響が甚大であるため、リスクを最大限ゼロに近づけるため、井戸を埋めることは避けるべきとされています。

これらの物理的なリスクは「息抜き」を行うことで避けられます。

【参考】「井戸」は絶対に埋めるな…工事関係者から「ヤバい」「怖い」体験談が殺到|まいどなニュース(関西の新聞社・テレビ局等の合同メディア)

神様が呼吸をできなくなる・外に出られなくなる

神道的な理由は「神様が呼吸をできなくなる・外に出られなくなる」というものです。

この理由については「迷信」と考えてもかまいません。

たとえばイスラム教徒の方であれば、アラーが唯一の神であるため「井戸の神様」など信じないでしょう。

ただ「呼吸をできなくなる」というのは、先ほど説明した「メタンガス」の話と似ています。

昔の農民の方々は、メタンガスの存在自体知らなかったでしょうし、爆発の仕組みを説明しても、理解が難しかったでしょう。

(温泉のような熱源が下にあれば理解できたでしょうが「熱がないところでなぜ湯気のようなものが生まれるのか?」と不思議に思うはずです)

おそらく「神様が息をできなくなる」という発想は、宗教的な考えだけでなく、メタンガスのような現象に気づいた人が、それを「農民たちにわかりやすく伝えた」という可能性もあるでしょう。

いずれにしても、物理的な理由もある以上「井戸を息抜きなしで完全に埋めるのはNG」といえます。

井戸のお祓い(井戸祓い)でよくある質問

井戸のお祓い(井戸祓い)でよくある質問

井戸のお祓い(井戸祓い)について、特によく見られる質問は以下のようなものです。

  • 井戸のお祓いはなぜ必要?
  • 井戸を埋める時お祓いしないのはあり?
  • 井戸のお祓いを自分でやる方法は?

それぞれの質問にお答えしていきます。

井戸のお祓いはなぜ必要?

神道を抜きにした実務的な理由では、やはり「作業を行う大工さん・職人さんへの配慮」が挙げられます。

井戸の解体や掘削も含め、土木や建築の現場のお仕事は、常に大怪我を負うリスクと隣り合わせです。

最悪の場合は命を落としてしまうこともあり、こうした不運は職人さんがどれだけ注意をしていても起こりうるものです。

このような悲劇が起きないように「工事の依頼主も祈っている」という気持ちを示すために、お祓いが必要といえます。

つまり、重要なのはお祓いの効力以上に「依頼主さんが職人さんの無事を祈る」という気持ちだといえます。

この他、井戸を掘ったことで近隣の土壌や田畑に影響が出ないよう「細心の注意を払っている」ことを示す上でも重要です。

特に井戸を掘る場所の近くに人が住んでいたり、田畑があったりする場合は、それらの居住者・所有者の方々への配慮として、やはり井戸祓いが必要といえます。

井戸祓いは決して迷信ではなく「周囲を尊重する気持ち」を示すコミュニケーションの手段として必要なわけです。

井戸を埋める時お祓いしないのはあり?

井戸を埋める時、お祓いをしないのは「一応あり」です。

ただ、上で説明した通り、現場の職人さんや近隣の方々にも配慮すると「どうしてもやりたくない理由がなければ、していただく方が良い」といえます。

とは言うものの、経済的な事情で「どうしても厳しい」ということもあるでしょう。

このような場合は、もちろん無理にお祓いをする必要はありません。

井戸の神様も、経済的に余裕がない方が無理をして自分のためにお祓いをしている姿を見たら、胸が痛むでしょう。

結論としては「経済的な余裕があり、どうしても嫌でなければ、基本はしていただく方が良い」といえます。

井戸のお祓いを自分でやる方法は?

井戸のお祓いは、一応自分でもできます。

もともとお祓い自体に法的なルールがないため「誰が何をしても自由」なのです。

自分で行う場合は、神社の神職によるお祓いの方法を、同じように真似ていただくのが一つのやり方といえます。

ただ、先に説明した「職人さんやご近所の方々への配慮」を考えると、やはり神職にご依頼いただく方がベターといえます。

あなたが職人さんやご近所の方だったとしたら、お祓いを「自分でしました」と言われたら、やはり心配になるでしょう。

特に職人さんについては「軽んじられている」と考えてしまう可能性もあります。

ただ、自分で行うお祓いが「心のこもったもの」であれば別です。

そのようなお祓いは現代ではなかなか見られませんが、たとえば著名なキャンドルアーティストの方が、震災の被災地で行われているキャンドルアートなどは、イメージに近いといえそうです。

ただ、そのようなお祓いを自ら行うことはやはり大変であるため、神社やお寺にご依頼いただく方がスムーズといえます。

【まとめ】井戸のお祓い(井戸祓い)とは?

【まとめ】井戸のお祓い(井戸祓い)とは?

井戸の工事は周辺の地下水脈にも影響するため、家を建てる時と同等に、周辺の人々や環境への配慮が必要なものです。

このため、個人レベルで完結する厄祓いなどと違い、井戸祓いは「周辺の人々や職人さんの気持ち」も考えた上で、受けるか受けないかを考えていただくのが良いでしょう。

中には「お祓いをしないなら作業をしない」という職人さんも見えるため、井戸祓いは「よほどやりたくない理由がなければ、基本的にやる」と考えていただくのがベターといえます。

経済的に厳しいという状況を除けば、積極的にお祓いを受けるようにしていただくのが良いでしょう。

なお、井戸のお祓いに関しては、市谷亀岡八幡宮でも日々多くのご依頼をいただいております。

ご予約の方法などの詳細については、以下のページで詳しくまとめています。

井戸の解体工事・埋め立て工事を予定している方は、ぜひ参考になさってください!

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