近現代

激動の明治維新から現代へ=サードインパクト

近代に入って神道はかなり大きな変化を被ることとなりました。その変化は大きく二つの側面に分ける事ができます。

一つは政治的な変動の余波というべきものであり、もう一つは宗教界における新しい潮流の形成によるものです。まず政治的な変動の余波ですが、近代においては政治的には二度の大きな変動がありました。
明治維新以降及び第二次世界大戦直後の政治上の変革です。
維新政府が神仏分離政策をとり神社神道を国家的に護持し、近代天皇制を確立しようとしたことは神道界にさまざまな影響を及ぼし神社神道は近世とは大きく異なる歩みを始めることともなりました。

教派神道という新しい潮流の形成が加速化されることともなりました。
また第二次世界大戦直後に、信教自由、政教分離という原則のもとにおこなわれた諸政策の影響も大きく、とりわけ神社神道が宗教法人令・宗教法人法のもとで、他の宗教と同列に置かれることとなったのは最大の変化です。つぎに、宗教界における新しい潮流の形成とは、幕末における新しい潮流の形成とは、幕末以来、教派神道や神道系新宗教など新しい運動が数多く形成されたことを指します。
その結果、近世の宗教編成図は大きく塗り替えられました。
さらにまた近代においては、神社神道や教団神道が海外進出するようになりました。
これも以前には見られなかった新しい現象です。

また、習俗、人生儀礼、年中行事といった民族神道的な部分も、都市化、工業化などに伴う生活形態の変化によって、近代を通し少しずつ変容を迫られてきました。
近世末期の農業人口は全体の八割と言われていましたが、昨今では一割以下になってしまいました。稲作文化と深く結びついていた各地の民族神道が、次第にその内容を失う傾向にあります。
祭がイベント化し宗教性が薄れるという現象も見られます。
しかしそうしたものが共同体や地域社会にもっている機能はなくなってはいません。
祭が神道、さらには日本文化の最も大きな特徴の一つであるという点に変わりはありません。
民族神道的な部分は、近代文化の中で、かえってその根強さを示していると言えます。